肘が腫れて痛みが?熱を持っている時はどうする?
普段の生活でもよく動かす部位の一つに、肘があります。
肘というと、自分から意識しない限り、よほどのことがなければ日常生活の中で見た目の異常に気が付くことが難しい部位です。
そんな肘ですから肘をついたりお風呂で体を洗っている時など、ふとしたことで痛みや腫れの存在に気が付くという人が多いのではないでしょうか?
このように、肘に腫れや痛みがある場合、なにが原因で起きたのかがわかりにくいというのが、肘のトラブルの特徴にあります。
そこで今回は、「肘が腫れた状態」に注目し、その腫れに痛みがある場合や熱を持っている場合に考えられる原因や対処法などを、まとめて解説していきます。
では、早速見ていきましょう。
今回の流れ
肘が腫れている気がする!そんな時は…
脚や顔などのように、目で見やすい位置にある部位や普段から鏡などで確認しやすい部位の場合であれば、腫れの症状が現れても、比較的早く気が付くことが出来ます。
ところが、体の側面に位置する肘は、良く動かす部分ではありますが、その部分を目で見て確認するには、本人が意識しなければ難しい部位であるといえます。
そんな部分に腫れを感じた時、まずは確認してほしいことがあります。
まずは状態を探ってみよう
肘のトラブルといっても、状態によって原因が異なることが考えられます。
肘には、肘関節のほか、肘を動かすための筋や腱もあります。
まずは、あなたが今感じている肘の違和感が、どのような状態であるのかを確認していきます。
●腫れというよりは痛みの方が強い気がする場合
肘の腫れよりも、肘に感じる痛みの方が強い感じがする場合は、肘を使いすぎたことが原因で痛みが現れている可能性があります。
肘の疲労が原因によって起きる痛みには、「テニス肘」「野球肘」「ゴルフ肘」「腱鞘炎」「痛風」の可能性があります。
●目で見てすぐに腫れているのが分かる場合
目で見ても腫れていることが分かる場合は、「関節リウマチ」や「骨折」、その他関節や骨・筋肉や神経に関係する病気の可能性があります。
知っておきたい肘関節のこと
そもそも、肘の関節とは、いったいどのような構造をしているのでしょう?
●肘関節の構造
肘関節とは、肩から肘までの骨である「上腕骨」の末端と、肘から手首までの2本の「前腕骨」が組み合わさるような構造をしています。
肘から手首までの前腕骨は、それぞれ「橈骨(とうこつ)」と「尺骨(しゃっこつ)」と呼ばれており、上腕骨・橈骨・尺骨の3つの周りには、軟骨や筋肉、腱が取り囲むようにサポートしています。
●小学校低学年までの子どもに多い肘の腫れ
小学校低学年までの小さな子どもに多いのは、鉄棒などから誤って落ちた時に骨折してしまうケースです。
痛みとともに、目で見てもすぐわかる程度に肘が腫れる為、発見しやすいのも特徴です。
肘の骨折の場合、最近では、その日のうちに手術をして骨折部分を矯正する方法が主にとられます。
これは、骨折によって血管や神経に悪影響が及び、重篤な合併症を引き起こす可能性があるからといわれています。
●野球少年少女に多い肘の腫れとは?
成長過程にある子どもたちが、野球でボールを投げる動作を繰り返すと、野球肘を引き起こす可能性があります。
これは、骨や軟骨が未熟な段階であるにもかかわらず、繰り返し行われる肘の動きによって、肘関節を保護する役割のある軟骨や筋肉・腱が損傷してしまうことによっておこると考えられています。
一般的にはこのような症状を「野球肘」ということが多いのですが、医学的には、「上腕骨内側上顆炎」といいます。
ちなみに同じ症状が起きている場合、「ゴルフ肘」と呼ぶこともあります。
●ラケットを使用する競技愛好者に多い腫れとは?
一般的に「テニス肘」といわれる症状がありますが、これは、テニスだけでなく、ラケットを使用した競技を行う人に多く見られるスポーツ障害と考えられています。
テニス肘は、無理に手首と肘を使うことによって、肘の筋や腱を変形させたり、骨膜の炎症を引き起こすものです。
症状の特徴としては、肘を曲げたりひねる動作を行うことによって、前腕に強い痛みを感じます。
また、ひねるという動作が不自由になりますから、タオル絞りやペットボトルのキャップを開けるなど、本来であれば簡単に行うことが出来る日常動作であっても支障が出てくる可能性があります。
テニス肘は、基本的にはスポーツ障害といわれていますが、加齢が原因で起こることもありますし、五十肩を患った事がきっかけとなって症状が現れる場合もあります。
テニス肘は、医学的には「上腕骨外側上顆炎」といい、腫れの症状もありますが、主に痛みを感じる方が強いと考えられています。
腫れを感じた時の応急処置は?
実は、腫れを感じたとしても、痛みがある場合と痛みがない場合によって応急処置の方法が異なります。
●ケガやスポーツ障害が原因と思われる腫れと痛みの場合は
この場合は、炎症が起きていることが原因で腫れや痛みが起こっている可能性があります。
ですから、ひとまず気になる部分を冷やし、早めに整形外科を受診するようにしましょう。
●その他の原因で腫れや痛みが起きていることが考えられる場合は?
肘の腫れや痛みが炎症でない場合は、患部を温めるというのが良いです。
温パックや温めたタオルなどでしっかりと患部を保護し、こちらも早めに整形外科を受診するようにしましょう。
肘が腫れた原因を探ろう
ケガやスポーツ障害が原因ではないのに、肘が腫れたというのであれば、まずは正しい原因を探るということが必要になります。
肘の腫れには様々な要因が考えられるため、原因が特定できない限り、有効な治療法が見つかりません。
肘をつくと違和感のある腫れがある場合は
しこりのような腫れが肘にできている場合、痛みはないのに机に肘をつくと違和感があるというケースがよく見られます。
この場合は、「肘の髄液包炎」の可能性があります。
これは、肘頭の皮下にある「関節滑液包」が肘をつく癖のように、習慣的に刺激されたことによって炎症が起きてしまい、痛みと腫れを引き起こすというものです。
基本的には、肘の継続的な刺激を辞めれば、2か月程度で自然に治すことが出来ます。
もちろん、専門医の治療も受けることが出来ます。
この場合は、皮下にたまった水を注射で抜き取り、炎症を抑えるためのステロイドを注入するという方法が取られます。
いずれにしても、肘をつく癖は、肘に刺激を与える原因となりますから、辞める必要があります。
腫れ以外にも肘が曲げ難いと感じる場合
痛みや腫れも気になるものの、なんとなく肘がロックされた感じがして曲げ難いという場合には、「変形性関節症」を引き起こしている可能性があります。
変形性関節症は、加齢や外傷などによって起きるといわれていますが、変形性関節症が起きる原因は、膝周辺にある軟骨がすり減り損傷することで、結果として間接のすりヘリが起きると考えられています。
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まだまだ考えられる肘の腫れと痛みの原因
他にも、肘の腫れや痛みを発生させる原因はあります。
靭帯挫傷または捻挫
肘の関節には、靭帯も含まれます。
この靭帯はケガや反復ストレスによって挫傷や捻挫が起きると考えられます。
特に靭帯が裂けるといった症状を引き起こす場合は、「バチン」と何かがはじけるような音がする場合もあります。
このような場合は、まずは腫れの部分を冷やします。
その上で、できるだけ動かさないように固定しながら、専門機関を受診して治療する必要があります。
リンパ節炎
リンパ節炎とは、リンパ節が延焼することによって晴れの症状が現れる病気です。
リンパ節は体全体に無数にあり、その一部は肘にも存在します。
このリンパ節も、豆粒くらいの大きさがあります。
炎症を起こしていない場合でも、リンパ節を触るとコリッとした感触が手で確認できますが、リンパ節が炎症してしまうと、この豆粒大のリンパ節は大きく腫れあがっていきます。
これが、リンパ節炎です。
リンパ節は、本来、体内にある不要物や細菌などをこし取って排出するフィルターのような役割を果たすのですが、炎症を起こすとこの働きがうまく機能しなくなります。
これによって、リンパ節周辺が最近や病原菌に感染してしまい、リンパ節炎を引き起こしてしまいます。
ただのリンパ節炎であれば、自宅で安静にしていても、2~3日程度で晴れの症状は治まっていきます。
ただし、症状が治まらない場合は、別のリンパ系疾患が原因で起きている可能性も考えられます。
リンパ系疾患で最も怖いのは、
・悪性リンパ腫
・白血病
です。
この病気が原因でリンパが腫れている場合は、癌細胞が増殖していきますから、腫れは大きくなっていきます。
この時の腫れには、特徴があります。
がん細胞による腫れ(しこり)の場合は、指でその部分を押しても痛みはありません。
ですが、自然治癒が期待できるものではありませんから、早めに専門機関を受診するようにしてください。
腫れとともに熱がある場合
肘の腫れが見られた場合に、熱があるというケースもあります。
先に紹介した「髄液包炎」も、実は腫れとともに熱を発することがあります。
これは、幹部が炎症を起こしているからと考えられます。
これ以外にも、肘の腫れが起きた時に、熱を引き起こすケースがあります。
この場合は、肘関節の一部が損傷し、さらに損傷部分が化膿していることが原因で熱を発している可能性が考えられます。
これは、自然治癒での回復は見込めませんから、速やかに整形外科を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。
まとめ
今回は、肘の腫れを伴う様々な症状とその原因、また痛みや発熱を伴う場合に考えられる原因について解説しました。
肘関節は、日常生活の中でも動かす機会が非常に多い部位です。
ですから、気になる症状が現れた時は、まずはその症状をよく確認し、症状に応じて適切な応急処置をするということが、症状悪化を食い止めるポイントであるといえます。
さらに、気になる症状がある場合は、放置せずに速やかに専門機関を受診するということが大切になります。