背中の真ん中あたりが痛いのは病気?その原因と対処法!
背中に感じる痛みといっても、様々なものがあります。
痛みの具合にも個人差がありますが、痛みの部位も、それぞれ異なってきます。
ただし、この痛みの部位に関しては、見過ごせない病気のサインである可能性もあります。
そこで今回は、背中の真ん中あたりが痛いと感じた時の状態に注目し、考えられる原因や対処法について解説していきます
では、早速見ていきましょう。
今回の流れ
背中の痛みは、部位によって原因がわかる!
背中の痛みといっても、様々なものがあります。
それは、背中が身体の中心に位置する臓器と密接に関係しているからです。
筋肉の疲労による筋肉痛や、強い力が加わったことによる痛み以外で背中に痛みを感じるのであれば、内臓の疾患が原因である可能性があります。
背中の右側に感じる痛みの原因は?
背中の右側に痛みを感じる場合は、次のようなことが原因である可能性があります。
肝炎
肝炎には、「ウイルス性肝炎」「アルコール性肝炎」「非アルコール性脂肪性肝炎」「薬剤性肝炎」「自己免疫性肝炎」「原発性胆汁性胆管炎」があります。
いずれの場合も、何らかの原因によって肝臓に炎症が起こることで様々な症状を引き起こす病気といわれています。
日本人の場合、ウイルスが原因と考えられる肝炎の発症が、全体の約80%を占めており、中でもA、B、C型が多くみられます。
■ウイルス性肝炎
ウイルス性肝炎には、「A型肝炎」「B型肝炎」「C型肝炎」「D型肝炎」「E型肝炎」「G型肝炎」「TT型肝炎」「その他肝炎ウイルス以外で起こる肝炎」があります。
■アルコール性肝炎
アルコールの乱用によって引き起こされる肝臓疾患のことを、アルコール性肝炎といいます。
■非アルコール性脂肪性肝炎
肝臓に脂肪が蓄積することが原因で起きる肝炎を、非アルコール性脂肪性肝炎といいます。
■薬剤性肝炎
薬物が原因で起きる肝炎を、薬物性肝炎といいます。
■自己免疫性肝炎
免疫システムに異常が起きることによって肝機能障害を引き起こすのが、自己免疫性肝炎といわれています。
■原発性胆汁性胆管炎
原発性胆汁性胆管炎は、全体的には中年の女性に多く発症が見られるという点に特徴があります。
肝臓がん
肝臓がんは、自覚症状が現れにくいため、病状が進行しないと発見されにくいがんとも言われています。
肝臓がんは、肝硬変が進行したものですから、症状としても肝硬変の症状とほぼ同じです。
■主な症状
主な症状には、食欲不振や体重の減少、全身の倦怠感、微熱、腹痛、腹部膨満、腹水、黄疸などがあります。
■肝臓がんの種類
肝臓がんの多くは、他の臓器の腫瘍が転移したことによって起きる、「転移性肝臓がん」といわれています。
■肝臓がんの原因
肝臓がんの原因には、肝炎ウイルスの感染や慢性肝炎、肝硬変の症状が進行したということが考えられます。
他にも、アルコールの乱用や喫煙習慣なども、原因として挙げられます。
胆石症
胆石の成分には、いくつかの種類があります。そのため、胆石の種類によって原因も異なります。
■コレステロール系結石
結石の約70%が、コレステロール系結石といわれています。
本来コレステロールは水に溶けない性質なのですが、胆汁の場合は胆汁酸の働きがあるため、コレステロールが存在します。
このコレステロールが過剰に増えると、胆汁の中で固まり、結石が出来ます。
コレステロール系結石の原因には
・肥満や高脂血症
・糖尿病や妊娠
などがあります。
■ビリルビンカルシウム系結石
胆汁に含まれるビリルビンが変化することによってカルシウムと結合すると、ビリルビンカルシウム系結石が出来ます。
胆石の約15%が、ビリルビンカルシウム系結石であるといわれています。
■黒色石
団中に含まれるビリルビンが過剰に増えたり、胆汁酸の濃度が下がることによって、ビリルビンが金属元素と結合し複合体を作ります。
これが固まると、黒色石が出来ます。胆石の約15%が、黒色石であるといわれています。
●胆のう炎
胆のう炎は、胆石や細菌などが原因となって胆のうが炎症を起こす病気です。
主に背中の右側から肩にかけての痛みや右腹部に痛みが見られます。
また、発熱も症状として見られることがあります。
●胆管がん
肝臓で作られた胆汁を流す胆管にできる腫瘍のことを、胆管がんといいます。
胆管は、非常に細い管であるため、つまりやすい特徴があります。
そのため、胆管が詰まることによって胆汁がうまく流れなくなると、黄疸が現れます。
背中の左側に感じる痛みの原因は?
背中の左側に痛みを感じる場合は、次のようなことが原因である可能性があります。
胃炎
胃炎には、胃がんが発生する頻度が高いものと、それほど高くないものがあります。
■胃がんが発生する頻度の低いケース
胃炎の中でも、「表層性胃炎」「急性胃炎」の場合は、胃がんへの頻度がそれほど高くないと考えられます。
■胃がんが発生する頻度の高いケース
胃炎の中でも、「高度萎縮性慢性胃炎」「慢性肥厚性胃炎」の場合は、胃がんへの頻度が高いと考えられています。
そのため、年に一度は内視鏡検査を受けることが対処法として考えられます。
神経性胃炎
内視鏡で検査をしても異常がないのに、痛みがあるという場合は、神経性胃炎の可能性があります。
痛みのほかにも
・胸やけや食欲不振
・吐き気や食後の胃もたれ
などがおこります。
また、薬の効果があまり見られないというのも、神経性胃炎の症状の特徴にあります。
主な原因は、ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、胃の働きに様々な障害が現れると考えられています。
十二指腸潰瘍
10~20代の若年層に多く見られるのが特徴の「十二指腸潰瘍」は、胃の粘膜に炎症が起きることによって発症する病気です。
主な原因は、ピロリ菌によるものと考えられており、十二指腸潰瘍の95%はこの影響で起きるといわれています。
胃がん
男女比で見ると、男性に多く見られる傾向があるのが、胃がんです。
がんの中でも、肺がんの次に多く発症するといわれているだけに、早期発見が望まれる病気です。
胃がんは、「早期胃がん」と「進行胃がん」に分けられますが、中でも最も悪質なものは、「スキルス胃がん」といわれています。
スキルス胃がんは胃壁内から進行していくため、早期発見が難しく、さらに進行が速いため、非常に治療が困難な胃がんといわれています。
狭心症
狭心症には、「労作性狭心症」「安静狭心症」「器質型狭心症」「異形狭心症」「安定狭心症」「不安定狭心症」に分けられます。
主に血管内宮が狭くなることによって、心筋に十分な血液が送り込めないことで、痛みを引き起こすと考えられています。
主な発作の症状には、「胸が締め付けられる」「胸の奥が痛い」「背中の痛み」「左肩から腕にかけてのしびれ」などがあります。
心筋梗塞
冠動脈が詰まって心筋に血液が届かなくなったことによって起きる病気を、心筋梗塞といいます。
主な症状には、
・胸の痛みや呼吸困難
・吐き気や冷や汗
などがあります。
背中のほぼ中央部分が痛む場合は…
背中のほぼ中央部分に痛みが起きる場合には、次のような病気の可能性があります。
胸椎前方変位
本来、背骨は緩やかなS字を描いてカーブしているものなのですが、本来のカーブとは逆の前方へ突き出してしまうのが、胸椎前方変位です。
これは、胸椎に前方へそるような圧力が慢性的にかかることが原因といわれており、ダンサーに多く見られます。
■主な症状
・深呼吸をするのが辛い
・状態を前に倒しにくい
・背中に痛みがある
・仰向きで横に慣れない
・背骨に後ろから押されたような圧迫感がある
急性大動脈解離(きゅうせいだいどうみゃくかいり)
大動脈の内側に亀裂が出来たことによって、その亀裂から血液が大動脈の壁を裂いて中へ侵入してしまう病気を、急性大動脈解離といいます。
■急性大動脈解離は非常に危険な病気
急性大動脈解離の恐ろしさは、突然発症するという点もありますが、放置するほど生存率が下がる、非常に危険な病気です。
もしも発症しているにもかかわらず放置すれば、発症後48時間以内で50%、一週間以内で70%、2週間以内で80%の確率で死に至るといわれています。
■主な症状
急性大動脈解離の場合、激しい背中の痛みが特徴にあります。
■急性大動脈解離の種類
急性大動脈解離には、「スタンフォードA型」と「スタンフォードB型」があります。
より迅速な治療が必要になるのは、「スタンフォードA型」で、死に至る合併症を起こしやすいといわれています。
■急性大動脈解離を予防するには
正しい食事と適度な運動が、予防には効果があるといわれています。
また、タバコを吸う人は、吸わない人と比べてリスクが高いといわれていますから、禁煙を心がけるということも非常に効果が期待できます。
背中の真ん中でやや下気味が痛む場合は…
背中の真ん中で、衷心よりやや下の位置が痛む場合は、次のような病気の可能性があります。
膵炎(すいえん)
胃の裏側に位置するのが膵臓ですが、この膵臓に炎症が起きることで発症するのが、膵炎です。
■膵炎の原因
膵炎は膵臓が分泌した酵素によって膵臓の細胞が消化され、炎症を引き起こすといわれています。
消化液によって膵臓がダメージを受けると、痛みが強くなるといわれています。
炎症が起きる原因には、アルコールの過剰摂取が最も大きいといわれています。
■痛みの対処法
膵炎の場合、痛みの程度には軽い鈍痛から激しい痛みまでさまざまですが、「膝を曲げ、横になる」と痛みの軽減に効果が見られます。
早めの治療が大切ですが、じっとしていられないほどの激痛が襲ったときの応急処置として、覚えておくと効果があります。
また、食事をすることによって痛みが強まる特徴を持っていますから、絶食することでも痛みを軽減させることが出来ます。
すい臓がん
がんの中でも死亡率が高いといわれているのが、すい臓がんです。
40歳以降になると発症率が増加する傾向にあり、現在では臓器別がん死亡数でみても、全体の第4位となっています。
その理由としては、初期段階では自覚症状がほとんどなく、発見が遅れるというのも特徴にあります。
しかし、悪性度が高いために腫瘍ができると、様々な部位に転移してしまう可能性が高いことが原因であるといわれています。
■すい臓がんの原因
現在のところ、明確な病気の原因はわかっていませんが、喫煙習慣がある人に多く見られることから、喫煙が原因の1つにあるといわれています。
また、慢性膵炎や糖尿病、肥満も原因に関係しているとの研究結果があります。
■主な症状
すい臓がんの場合、食欲不振、体重の減少、背中の痛み、黄疸などが現れます。
■対処法
自覚症状が現れた時にはすでに病状がかなり進行しているということが多いため、早期発見のための定期的な検診が何よりも効果的です。
まとめ
背中の中心が痛みを感じるといっても、その痛みの原因が心臓であるとは限りません。
たしかに、心臓の働きに深く関係する部位の疾患の場合、迅速な治療が生存率に深く関係してきますが、心臓以外であってもリスクが高い病気もあります。
ですから、背中の痛みは、「放置しない」ということが何よりも大切です。
その上で、普段の生活習慣などをしっかりと見直し、重大な病気のリスクをできるだけ回避するよう心がけるということが大切です。