肺が痛いし呼吸が変?原因となる病気は何?

 肺といえば、私たちの生命を維持するのに大切な「呼吸」に深く関係している部分です。

自発呼吸が認められなければ生命の危機に瀕するわけですから、肺や呼吸に異常が現れた時に不安を感じない人はいないでしょう。

でも、その痛みや呼吸の異常が我慢できる程度であれば、やはり日々の忙しさを理由に病院を受診することをためらうという人も多いはずです。

では、肺が痛んだり呼吸の異常が見られたときには、どんな病気が原因である可能性があるのでしょうか?

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肺のことをもう少し詳しく!

肺の痛みや呼吸の乱れの原因を見つけるには、まずは、肺が持つ様々な役割について理解をすることが必要です。

 

肺の役割

肺の役割には、「呼吸」と「血液循環」の2つがあります。

●呼吸における肺の役割

呼吸をすると、身体に取り込まれた空気は、様々な器官を通って、「肺胞」と呼ばれる肺に到達します。

これが、呼吸における「息を吸う」という動作にあたります。

肺に到達した酸素は、血液に取り込まれ心臓へ送り出されるのですが、全身を巡った血液には大量の二酸化炭素が含まれているため、この二酸化炭素を体の外に排出しなければなりません。

そこで、今度は二酸化炭素を口や鼻から気体として吐き出します。

これが、呼吸における「息を吐く」という動作にあたります。

 

●血液循環における肺の役割

肺胞と呼ばれる空気の最終到達点は、ブドウの実のようになっているといわれています。

ここでは、息を吸うことによって取り込んだ酸素と、血液中に大量に含まれた二酸化炭素を交換する作業が行われます。これが、肺における血液循環の働きとなります。

 

肺が動く仕組み

肺は、自力で動くことはできません。生命維持のために必要な呼吸も、肋骨の間にある筋肉と横隔膜の動きがあるからこそ可能になります。

 

●息を吸う時

息を吸うと、肺の下の部分に位置する横隔膜が縮み、肺は「下」へ引っ張られるようにして膨らみます。

この動きに連動して肋骨の間の筋肉が伸び、肺を守るように位置する胸壁が広がります。

これによって、肺は引っ張られるようにして「横」に膨らみます。

 

●息を吐く時

息を吐くと、横隔膜が伸び上へ肺を押し上げます。

この動きに連動して肋骨の間の筋肉や胸郭が縮み、肺全体が押されることによって肺が縮みます。

 

寝ている時と起きている時は吸う空気の量が違う

1分間に取り込むことが出来る酸素の量は、睡眠時と日中では異なります。

成人男性の場合、安静時の呼吸であれば、1回の呼吸で500mlのペットボトル1本分の量の空気を吸うといわれています。

毎分16回が一般的な呼吸数といわれていますから、ここから1分当たりに吸う空気の量を換算すると、ペットボトル8本分ということになります。

これに対し、睡眠中は日中のように活動しませんから、日中のような酸素量を必要としません。

そのため、睡眠中の空気の量をペットボトルで換算すると、約4本分になるといわれています。

もちろん、多くの酸素を必要とする運動中などであれば、呼吸で取り込む空気の量も増えます。

通常の散歩程度であればペットボトル12本分、汗ばむ程度のスピードで走っている場合は、およそペットボトル25本分の空気の量が必要となります。

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肺が痛いのはどうして?

肺が痛いと感じる時、その原因には様々なことが考えられます。

 

肺が痛くなる原因

肺が痛いと感じる時、その痛みの原因として「肋間神経痛」の可能性が考えられます。

●肋間神経痛とは

肋間神経痛には、過度の慰労やストレスなどによって突然発症するケースがあります。

痛みの状態には個人差があるのですが、場合によっては咳やくしゃみのたびに激痛がするというケースもあります。

肋間神経痛の場合は、胸にある肋間神経が何らかの原因によって圧迫されることで起きる神経痛ですから、痛みを感じても、ほとんどの場合一時的なものであるというのが特徴です。

 

●肋間神経痛の対処法

日頃からストレスをためないようにするというのが、肋間神経痛の対処法といえます。

神経質な性格の人が発症しやすいといわれていますので、気持ちにゆとりを持つという心掛けが症状改善には効果があるといえるでしょう。

 

肺が痛いのは、病気のせい?

肺に痛みを感じる病気には、次のようなものが考えられます。

●肺炎

肺炎が起きる原因は、実に様々なものがあります。

風邪やインフルエンザなど細菌やウイルスに感染したことによって発症することもありますし、化学物質やアレルギー反応を起こしたことによって発症することもあります。

肺炎は重篤な症状を引き起こす病気ではなく、回復が見込める病気です。

ですが、症状を放置していたり、免疫力や病気に対する抵抗力が下がる高齢者の場合、最悪の場合は死に至る場合もあります。

特に高齢者の場合、死因の3割が肺炎といわれています。

 

●肺癌

喫煙が最も有名な原因といわれている肺がんですが、大気汚染や女性ホルモンの一つである「エストロゲン」が関係しているとも言われています。

主な初期症状としては、「1か月以上続く空咳」「息切れ」「血痰」「持続性の胸の痛み」などがあります。ただし、初期段階ではこうした症状もないというケースも珍しくなく、病気の進行とともに自覚症状が現れるのが一般的です。

肺がんは「がんの中でも転移しやすいがん」といわれており、骨や肝臓、脳などに転移すると、全身の痛みや異常を訴えるようになります。

 

もしかしたらこの痛みは、背骨のせい?

背骨といえば、正常であっても緩くカーブしているものですが、「背中のカーブがきつい」「背骨が側方に曲がっている」「背骨がねじれている」などが見られる場合は、「側弯症」の可能性があります。

 

●側弯症とは

本来、背骨は約10度の角度でS字を描くようにカーブしています。

ところが、側弯症になると、この角度が20度以上になることがあります。

現在のところ、主な側弯症の症状の8~9割の原因が、いまだに原因がわかっていないといわれています。

側弯症は、骨の成長が止まることで進行も止まるといわれていますが、重篤な症状を引き起こす病気が原因で起きている場合などは、成長が終了した後も進行する場合があります。

症状が進行し激しい骨の変形が見られるようになると、肺や心臓を囲むように存在している胸郭が著しく変形することがあります。

これによって、肺の機能が低下したり、肺や心臓に重篤な症状を引き起こす可能性があります。

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肺の痛みとともに呼吸の異常を感じる時は…

肺に痛みを感じる上に、呼吸に異常を感じる場合は、ここまで紹介してきた病気以外にも、次のようなことが考えられる場合があります。

 

肺の痛みと呼吸の異常が見られる病気

肺の痛みと呼吸の異常が見られる病気には、次のようなものがあります。

 

●気管支喘息

気管支喘息はと、気道が炎症を起こすことによって気道の粘膜がむくみ、気道が狭くなることによって起きる病気です。

症状は、「呼吸のたびに『ゼーゼー』『ヒューヒュー』といった喘鳴が起きる」「激しくせき込む」などがあります。

喘息の重症度は、「軽症間欠型」「軽症持続型」「中等症持続型」「重症持続型」の4段階に分けられます。

段階によって治療や症状には違いがありますが、放置すれば気道の炎症がさらに悪化しますから、発作が起きる回数が増えたり、弱い刺激でも発作を起こすようになります。

 

●肺気腫(はいきしゅ)

肺胞の組織が破壊されることで、肺の中の空気を押し出せずに肺での酸素の交換が困難になる病気を、肺気腫といいます。

初期段階ではほとんど自覚症状がありませんが、進行すると、日常生活が困難になるほどの呼吸困難に陥ることもあります。

また、呼吸が浅くなったり、気管支ぜんそくのような喘鳴が慢性的に続くようにもなります。

原因には、長期間の喫煙習慣や大気汚染などがあります。

また、風邪などの症状が悪化することによって発症することもあります。

 

●肺結核

結核菌が体内に入り、肺の内部で菌が増殖することによって起きるのが、肺結核です。

飛沫感染が主な感染ルートであるため、肺結核患者の咳やくしゃみなどから感染します。

ただし、実際に感染しても、発症するのは10人に対して1~2人程度といわれています。

免疫力が結核菌を上回れば発症しないといわれていますから、日々の体調管理が発症に大きく関係してきます。

 

更年期障害でも呼吸の異常を感じることがある

女性の場合、息切れや動悸などの呼吸の異常が「更年期障害」によるものである可能性もあります。

 

●更年期障害とは?

日本人女性の平均閉経年齢は、50歳といわれています。

更年期とは、閉経を挟んだ前後10年間のことをいいます。

この時期は、女性ホルモンが急激に減少することによって、体や心に様々な症状が現れます。これらの症状を、更年期障害といいます。

 

●更年期障害による呼吸の異常とは?

更年期障害は、女性ホルモンの減少によって起きると考えられています。

この女性ホルモンの減少は、呼吸や心臓の働きをコントロールする自律神経にも影響を及ぼします。

そのため、就寝中に急に息が苦しくなったり、運動をしているわけでもないのに息切れが起きるということがあります。

 

呼吸の異常を感じた時の対処法

精神的なストレスも、自律神経の乱れを引き起こす原因になります。

そのため、発作が起きた時には次のような対処法がおすすめです。

 

■深呼吸する

突然の発作にパニック状態に陥ると、さらに呼吸が乱れる原因になってしまいます。

ですから、まずは深く呼吸をするように意識をします。

特に「鼻から息を吸って、口からゆっくり吐く」ことを意識するようにします。

 

■食生活を見直す

更年期障害が起きやすいといわれているのは、閉経前後の10年間といわれています。

ですから、長期的な症状の軽減には、体質改善が効果的だといわれています。

ホルモンバランスの乱れに効果があるといわれているのは、大豆製品に多く踏まれている「大豆イソフラボン」です。

大豆イソフラボンは、エストロゲンと同じ働きをするといわれていますから、普段の食生活の中で積極的に取り入れるように心がけるとよいでしょう。

ただし、過剰に摂取することは、症状を悪化させる原因になります。

エストロゲンが増加し過ぎることによってもホルモンバランスは乱れますから、「不足しがちな栄養の補充」という意識をもってとりくむ取り組むことが大切です。

 

まとめ

昔からいわれているように、肺の病気の原因には、「たばこ」が大きく関わっているということは間違いないようです。

ですが、喫煙経験がないのに肺に異常が現れるということも、珍しいことではありません。

様々なことが原因として考えられるのですが、正しい呼吸が行えないとなると、やはり日常生活には支障が出ます。

症状がひどくなってからでは、治療にかかる時間も費用も変わってきます。

ですから、症状が悪化しないうちに早めに専門機関を受診することが、肺や呼吸の異常の対処法としておすすめの方法といえます。

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