耳が腫れて痛い!その原因と対処法を分かりやすく!
「耳が腫れて痛い!」と言う時の症状は、大きく2つにわけることが出来ます。
1つは「目に見える症状」で、例えば耳そのものが腫れていたり、耳を含む周辺が発赤(ほせき・赤くなる)していたり。
もう1つは「目に見えない症状」で、鼓膜や耳管、内耳などの耳の中で起きるもので、耳鳴りや難聴が代表的なものになります。
中には、耳の奥の不具合が、「耳だれ」として現れる事もあり、これは直接的な原因は耳の中にありますが、症状としては「目に見えるもの」に分類されます。
耳の中は目に見えないだけに怖いですし「たかが腫れ」と思っていた物が、実は恐ろしい病の入り口だったりもするのです。
ここでは、様々な「耳の腫れ」の症状の原因が何なのかを探っていきましょう。
今回の流れ
耳が痛い!その症状から疑うべき病気4つ
一口に「耳が痛い!」と言っても、その症状は様々です。
腫れた様に痛むのか、耐えられない程のズキズキ感を伴うのか・・・
ここでは、痛みの症状から疑うべき病名を4つご紹介します。
ご自分の現在の状態が解れば、医師の話しを聞くときにも落ち着いて聞くことが出来ますので、是非参考になさってみてくださいね。
熱っぽくて、耳が聞こえにくいし、めまいもする
そういった症状が出ている時は、もしかしたら
・鼓膜熱
・急性中耳炎
かもしれません。
鼓膜熱は、外耳と中耳の境目である鼓膜に炎症がおきているものです。
鼓膜に水泡が出来る「水疱性鼓膜炎」と、肉芽(にくげ)が出来てしまう「肉芽種生鼓膜炎」に分けられます。
鼓膜の内側に炎症が起こる中耳炎と症状は似ているのですが、専門医に顕微鏡やファイバースコープで診てもらえば、安易に判断がつくものです。
一般に、中耳炎がお子様に多く発症するのに比べて、鼓膜熱は20~40代の女性に多く見られると言われていて、両耳いっぺんに症状が出る事は稀とされています。
耳がかゆくて、すごく熱い!頭も痛い!!
耳がかゆくて熱くて、頭も痛い場合は、
・耳せつ(じせつ)
とよばれる病気の疑いがあります。
外耳道(耳の入り口から鼓膜までの道)の外側、つまり耳の外側の2/3は骨、1/3は軟骨で出来ています。
その軟骨部の中には皮脂腺や汗腺など、「分泌」に司る組織が沢山あるのですが、そこが炎症を起こしてしまうと「せつ」と呼ばれる、膿の塊(おでき)が出来てしまうのです。
耳かきをした時に「こりこり」とする塊に触れると痛みを感じる事がありませんか?
それが「耳せつ」です。
耳せつになる原因としては、耳かきのしすぎからくる感染が一番多いとされていて、夏場に多く発症するのも特徴的です。
かなりの激痛を伴いますので、早めに耳鼻科を受診し、膿を出してもらいましょう。
黄緑色の耳だれ(膿)が出る!耳全体が腫れて痛い!
この場合は、
・悪性外耳道炎
の疑いがあります。
菌による外耳道(耳の入り口から鼓膜までの道)の感染症です。
糖尿病を患っている方や、細菌感染への抵抗力が低い高齢者に多く見られ、「悪性」というだけあって、耳だけにとどまらず頭蓋にまで進行する「壊死性(えしせい)」の強い炎症です。
・顔面神経痛
・脳神経症状
を引き起こす可能性があるので、高齢者や糖尿病を持っている方が、がんこな耳の痛みを感じたら、一刻も早く専門医を受診する事が大切です。
耳の外側が赤く腫れて熱い!
この場合は、
・耳介軟骨膜炎
の疑いがあります。
耳の外側(穴の外、耳朶を含む耳全体)の外傷が原因です。
耳の怪我や、虫刺され、ピアス穴からの感染、ヘルメットの耳紐で長時間圧迫されたことにるうっ血やむくみも耳介軟骨膜炎の一種と判断されます。
虫刺されやうっ血などは、時間とともに痛みや熱が緩和する事が多いですが、傷から入った細菌が耳の内部へ浸透してしまうと、他の病気を引き起こすきっかけとなりますので、十分な注意が必要となります。
このように、一口に「耳の腫れ」といっても、軽度な物から別の病を引き起こしてしまう恐ろしいものまで、多々あります。
「なかなか腫れがとれないな・・」という時は、取り返しがつかない事になる前に、耳鼻科を受診しましょう。
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本当は怖い?!耳の腫れから始まる病気3つ!
中耳炎や、外耳炎などは「耳が痛い・痒い」となった時のポピュラーな病気ですので
診療も受けやすいですね。
ところが中には「え?!耳が腫れてただけなのに!」と驚くような病名が隠れている事があります。
ここでは耳の腫れから疑える意外な病名を3つご紹介してみます。
おたふく風邪
正式には「流行性耳下腺炎」と呼ばれるもので、別名は「ムンプス」や「おたふく」と言われます。
ご存知のとおり、耳の後ろ辺りから腫れたような痛みを伴うものです。
実際に細菌が入って感染していますので、外見的にもまさに「お多福」のように頬が腫れてしまいます。
子供のうちに予防注射を受ける方がほとんどなのと、小さな子供のうちにかかってしまえば、免疫も出来るので問題がないのですが、大人になってから感染すると重症化する恐れがあります。
妊娠中の女性が感染すると、低体重児出産や流産の危険性もありますし、妊娠中でない場合でも卵巣炎を併発してしまうこともあります。
一方、男性のおたふくが重症化した時に最も気を付けなければならないのは、20パーセントから35パーセントの高確率で起きてしまうという「耳下腺炎性睾丸炎」です。
ひどい場合は無精子症という「男性版の不妊」になってしまいますので、万が一おたふくに感染してしまったら、耳下腺炎性睾丸炎の可能性も頭にいれておかなければなりません。
親知らず
え?!と思う方も多いかもしれませんが、親知らずが原因で耳の後ろが腫れる事があるのです。
親知らずが生えてきた時に、スペースが狭いせいで他の歯を押しのけたり顎の骨を押してしまします。
その時の痛みを感知するのが耳の裏となり、腫れたような感覚を覚える事から耳鼻科を受診した結果、再度「歯科」の受診を進められることが多いのです。
親知らずの治療は、抜歯や矯正が必要になる事が多いですので、やはり専門医に診てもらうのが一番です。
シェーグレーン症候群
聞きなれない言葉かもしれませんが、少し前にタレントの菊池桃子さんが、自らこの病であることをカミングアウトして話題を呼びました。
中高年の女性に多く発症が見られるのが特徴で、自分の体の中にある免疫が、正常な成分を自ら壊してしまうという病気です。
原因がはっきりとわかっていないのですが、やはり耳の後ろが腫れた様に痛む症状が現れます。
一般的に「ドライシンドローム」とも呼ばれ、
・鼻の奥の乾燥
・ドライアイ
・体全体がカサカサと乾燥してしまう症状
が出ます。
細かい症状によっても違うのですが、口や鼻に風が当たらないようにする対象療法から副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)を使用しての治療と様々にわかれます。
耳の腫れと同時に、関節痛やドライアイなどが続くようであれば、内科系のリウマチ専門医の受診をお勧めします。
まとめ
如何でしたか?「耳の腫れ」と言っても、本当に様々な原因がありますよね。
・痒くならない
・腫れさせない
・大きな病に発展させない
ようにするには、体を清潔に保ったり、毒虫などに刺されないように気を付けることが一番です。
夏場になり、海や山に出かける機会が増える方は、防虫剤を必ず持って行くようにしましょう。
万が一、刺されたた場合の虫刺され用の薬も効果的ですね。
体を清潔に保つことで、細菌感染を防ぐことになりますし、食生活に気を配る事で体全体の免疫をあげ、様々な病を防ぐことにもなりますので、試してみて下さい。
そして何より「腫れてるな」「痒いな」「おかしいな」と感じたら、迷うことなく専門医を受診しましょう。