歯茎を押すと痛い原因!腫れたりしこりもできている?
特に思い当たる理由もないのに、ある日突然歯茎に痛みが生じたり、腫れたり、しこりが出てくると、なにが原因で起きているのかが分からず、不安を感じることってありますよね?
歯茎は、歯とも関わりが深いものです。
それだけに、食事や会話など、日常生活に深く関わる問題でもあります。
そこで今回は、歯茎トラブルでよく見られる「痛み」「腫れ」「しこり」に注目し、その原因や対処法について紹介していきます。
今回の流れ
歯茎ってどんな役割があるの?
歯茎というのは、歯が埋め込まれている「歯槽骨」を覆っているものです。
そのため、歯との境目にも接しており、その構造は非常に複雑です。
歯茎は、歯と歯槽骨を支えることだけが、役割ではありません。
実は、外部からの菌や細菌を新入させないための働きもあります。
口の中は食事や呼吸や会話など、常に外部から菌や細菌が入ってきやすい環境にあります。
そのため、歯茎は、このような外部からの侵入に対し、「好中球」などで対抗します。
この働きがあるからこそ歯茎は、様々な菌や細菌から歯や歯槽骨を守ることが出来るのです。
健康な歯茎とは?
健康な歯茎には、3つの条件があります。
●きれいなピンク色
健康な歯茎は、きれいなピンク色をしています。
歯茎トラブルを抱えている場合は、炎症によって腫れるために赤色や赤黒い色になります。
●口臭がない
健康な歯茎であれば、口臭が気になることはありません。
ですが、歯周病などの歯茎トラブルを起こしている場合は、口臭がきつくなる傾向にあります。
歯石が溜まっていたり、歯の根元に膿が溜まっていると、これらが原因で悪臭を引き起こすこともあります。
●歯を磨いても血が出ない
歯茎トラブルを起こしている場合は、歯を磨くと出血をしたり、痛みを感じることがあります。
ただし、歯磨きの際に必要以上に歯茎を刺激することによって傷つけてしまい、出血を起こす場合もあります。
歯茎の病気って?
歯茎の病気といっても、様々なものが考えられます。
歯茎は、歯と歯を支える骨を支えたり、細菌から歯や骨を守るなどの役割を持っています。
ですから、歯茎にトラブルが起きると、歯だけでなく、骨にも影響が現れる可能性があります。
代表的な歯茎トラブルといえば、「歯肉病」です。
なんと日本人の約8割が歯周病またはその予備軍であるといわれています。
それ以外にも、歯茎トラブルを引き起こす病気には、つぎのようなものがあります。
●歯周炎
歯を支えている骨が、歯茎の炎症によって損傷していく病気です。
初期段階では歯茎の炎症でとどまりますが、症状が進行し骨が破壊されると、手術が必要となる場合もあります。
●膿瘍(のうよう)
炎症によって膿が溜まる病気です。膿瘍が出来る場所によって、「歯槽膿瘍」「顎部膿瘍」「顎下膿瘍」「口底膿瘍」のように呼び方が異なります。
●歯周病
初期段階では痛みはほとんどありませんが、病気が進行することによって自覚できる症状がでてきます。
主な自覚症状としては、「歯磨きで出血する」「出血に膿が混じる」「口臭がひどくなる」などがあります。
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歯茎を押すと痛いのはどんな異常の可能性があるの?
歯茎を押すと痛いと感じる時、まずはチェックしてもらい点があります。
その痛みの症状が、歯磨きの時によく起きるというのであれば、その原因は「歯肉炎」の可能性も考えられます。
ただし、歯肉炎の場合は、歯を磨くときに血が出たり、歯がしみるといった症状が起きます。
「このような症状はないけれど、痛みの症状がある」という場合は、歯肉炎以外の病気が原因で痛みが現れている可能性があります。
歯茎を押すと痛いときに、考えられる原因とその対処法は?
歯茎に痛みを感じるものには、次のようなものが原因として考えられます。
●口内炎
口内炎にはいくつかの種類があるのですが、その中には、歯茎が痛いと感じるケースもあります。
口内炎の中でもよく見られるのが、「アフタ性口内炎」と呼ばれるものです。
この「アフタ性口内炎」の特徴は、円形の小さな腫瘍が口の中の粘膜に出来る点にあります。
見た目も、腫瘍全体は白っぽいのですが、腫瘍の縁は少し赤くなっており、触ったり刺激の強いものを口に入れると染みることがあります。
●カンジタ菌
体の様々な部分で繁殖することが出来るカンジタ菌は、口の中にも存在します。健康な状態の場合は、特に体への影響は現れませんが、体力が落ちていたり、免疫が低下すると、痛みを発症することがあります。
歯茎を押すと痛いときに、考えられる対処法は?
歯茎が痛む原因によっても、考えられる対処法は異なります。
●口内炎
基本的には、症状が出ても1週間程度で治ります。
ただし、痛みがひどく食事が出来ないような状態であれば、歯医者で治療を受けるとよいでしょう。
ステロイド軟膏を投与してもらえたり、レーザー治療でその日のうちに症状が改善するものもあります。
●カンジタ菌
カンジタは、カビの一種ですので、口内を清潔に保つということが何よりも大切になります。
こまめにうがいを行い、口の中を清潔に保つことでも症状改善には役立ちます。
また、専門医を受診すれば、うがい薬や軟膏の投薬を受けることが出来ます。
歯茎を押すと痛い時、腫れやしこりがあったらどうする?
歯茎を押すときに、痛みだけでなく、「腫れ」や「しこり」といった症状が現れることもあります。
この場合も、原因によっては経過観察をしながらセルフケアで症状が改善する場合もありますが、放置しておくと大変な状態に陥る場合もあります。
症状の特徴をチェックしながら、必要な場合は専門医を受診し、早めの治療に取り掛かるように心がけてください。
歯茎が腫れたときに、考えられる原因は?
歯茎に腫れが起きる原因には、次のようなことが考えられます。
●親知らず
親知らずの場合、一番奥の歯であるために腫れた歯茎を噛んでしまうことも多く、それによってより痛みが強くなることがあります。
口腔清掃が行き届きにくいということもあり、親知らずは炎症を引き起こしやすく、痛みもより強く感じる傾向にあります。
●根尖性歯周炎
歯の根元が炎症を起こし、膿が溜まります。
膿が溜まっている部分はひどく腫れ、押すと強い痛みを感じます。
治療は、歯医者で歯の根元にたまった膿を取り除き、消毒をすることが必要です。
きちんと除去するまでには、数回受診することが必要な場合もあります。
●PMS
月経前症候群とも呼ばれているPMSには、歯茎トラブルも症状の1つにあります。
生理前に分泌される女性ホルモンの1つ「プロゲステロン」が、影響を及ぼし、歯茎の腫れや口内炎を引き起こすことがあります。
歯茎にしこりが出来たときに、考えられる原因は?
身体に現れる症状の中でしこりを見つけると、「もしかしたら…」と感じる人も多いのではないでしょうか?
しこりが出来る症状として不安になる病気といえば、「がん」があります。
実は、歯茎にもしこりが出来ることはあり、その原因ががんであるという場合もあります。
この場合に考えられるのは、「歯肉がん」です。これは、歯茎にできるがんのことです。
歯茎は、上顎部分と下顎部分がありますので、歯肉がんも、このどちらかの歯茎にできるものとされます。
ですが、歯肉がんの場合、上下どちらの歯茎にできたがんなのかによって、症状に違いが出ることがあります。
傾向としては、下顎の歯茎に発生する確率が高いことが分かっています。
●初期症状
歯肉癌の初期症状は、その他の歯茎トラブルで起きる症状と似ています。
例えば、「歯茎の腫れ」「歯茎の痛み」といった症状が見られます。
●進行するとしこりができる
がんが進行していくと、単なる歯茎トラブルと思われていた症状にも変化が出てきます。
「しこりが出来る」「歯茎から出血」「歯茎から悪臭」「神経痛のような痛み」などが現れます。
●腫瘍が大きくなると骨が破壊される
さらに進行していくと、周辺の骨もがんに侵されていきます。
そのため、「歯がぐらつく」「歯が抜ける」「歯が緩む」などの症状も現れます。
●さらに進行して転移すると…
歯肉がんは、進行すると「リンパ節」「顎」「口蓋」「口腔底」に転移することもあります。
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気になる歯肉炎とは?
痛みだけでなく、出血や歯がしみる場合には、ここまで紹介してきた病気が原因ではなく、歯肉炎が原因である可能性があります。
ですが、歯肉炎にはいくつもの種類があるのが特徴です。
大きく分けると、
・単純性歯肉炎
・壊死性腫瘍性歯肉炎
・増殖性歯肉炎
の3つがあります。
歯肉炎全体でみると、患者のほとんどが「単純性歯肉炎」であり、その原因も歯石や歯垢の中に潜んでいる細菌にあることが分かっています。
また、抵抗力が低下してしまう糖尿病患者に診られる「糖尿病性歯肉炎」というものもあります。
この糖尿病性歯肉炎は糖尿病が原因で、普通の歯肉炎が急に症状が進行し炎症が悪化することによっておこるものも含まれます。
●壊死性腫瘍性歯肉炎
壊死性腫瘍性歯肉炎は、「慢性壊死性腫瘍性歯肉炎」と「急性壊死性腫瘍性歯肉炎」の2つがあります。
いずれも、紡錘菌またはスピロヘータとその他の細菌に混合感染したことが原因で起こると考えられています。
急性壊死性腫瘍性歯肉炎の場合、
・歯茎が赤くなる
・腫瘍ができる
これらの症状により、強い痛みや出血などが現れることがあります。
強い口臭を伴うことも、症状の特徴にあります。
慢性壊死性腫瘍性歯肉炎の場合は、症状も比較的ゆるやかにしか起きず、痛みの症状などもほとんど現れません。
急性壊死性腫瘍性歯肉炎の可能性がある場合は、速やかに専門機関を受診するようにします。
投薬治療や、抗生物質の投薬、栄養補給や口腔清掃などの治療も必要になります。
基本的には、専門医による指導をもとに、安静を保ちつつ治療を続けていれば、症状は軽減していきます。
ただし、症状に改善が見られない場合には、別の重大な病気が原因となって症状が起きている可能性もあるため、より専門的な検査が必要になることもあります。
●増殖性歯肉炎
増殖性の中には、「思春期性歯肉炎」「妊娠性歯肉炎」「薬物性歯肉増殖症」などがあります。
■思春期性歯肉炎
ホルモンバランスの変化が原因で起こる歯肉炎と考えられています。
発症は、思春期の女性に特に多く見られます。
■妊娠性歯肉炎
妊娠性歯肉炎も、女性ホルモンが症状の原因に関係していると考えられています。
一般的な歯肉炎の症状とほとんど変わりませんが、出産によって症状が現れなくなるというのが妊娠性歯肉炎の特徴にあります。
■薬物性歯肉増殖症
原因となる薬物の副作用として、歯肉が増殖するという症状が現れることがあります。
原因となる主な薬物には、フェニトイン(抗痙攣薬)やニフェジビン(カルシウム拮抗薬)、シクロスポリンA(免疫抑制薬)があります。
まとめ
歯茎を押すと痛いと感じる場合でも、その原因として考えられるものには、様々なものがあります。
それだけに、自分の症状の原因を見つけることが何よりも大切であるといえます。
ですから、痛みが出たことに過剰に不安を感じることは避け、その痛みの原因をしっかりと見つけて対処していくことが、症状改善に最も効果があるといえるでしょう。