背中にしこりが?痛い場合と痛くない場合の原因と対処法ついて解説!
しこりは、全身の様々な所にできます。
ただ、何かがぶつかったことが原因で腫れるというわけでもなければ、何が原因で起きているのかわからず、不安に思う人も多いはずです。
特に普段、自分では見ることが出来ない背中にしこりが出来たとなると、直接自分の目で見て確認することが出来ないだけに、不安が募ります。
そこで今回は、背中のしこりに注目し、痛みがある時と痛みがない時のそれぞれの原因について解説していきます。
では、早速見ていきましょう。
今回の流れ
そもそも、しこりの正体とは?
全身にできるしこりですが、一体なぜ、しこりはできるのでしょうか?
しこりは何故できる?
しこりの原因の代表といえば、「腫瘍」です。腫瘍ときくと、どうしても「ガン」を連想してしまうと思います。
がんというと、やはり悪性のものを想像してしまいますが、これは、間違っています。
実は腫瘍には、良性と悪性があるのです。
背中の皮膚や皮下組織の良性腫瘍とは・・・
背中の皮膚や皮下組織にできる良性腫瘍には、次のようなものがあります。
■脂漏性角化症
脂漏性角化症は、「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」とも言います。
俗に「年寄りいぼ」と言われるように、加齢とともに現れる老化現象の一つといわれていますが、若い人でも出来る場合があります。
最初は数ミリ程度の小さなしこりですが、徐々に大きくなります。
また、複数出来ることもあります。
また、背中にできることも珍しくありません。
■脂肪腫
脂肪腫は、背中や肩などの皮下組織に多く発生する良性の腫瘍です。
■表皮嚢腫
皮膚の表面にできた良性の腫瘍です。
非常に一般的な皮膚疾患の一つです。
体のどの部分にもしこりは出来ますから、背中に表皮嚢腫が出来ることもあります。
しこりとニキビの違いは?
皮膚の内部のしこりが盛り上がることで赤く腫れることがありますが、このしこりに痛みがないと、「もしかしてニキビ(吹き出物)?」と思ってしまう人もいるでしょう。
でも、しこりとニキビは、原因が異なります。
しこりの多くは良性の腫瘍といわれていますが、ニキビの場合は、皮脂汚れが毛穴につまったことにより炎症を起こした状態のことを言います。
ですから、対処方法としても全く異なっているのです。
しこりの部分にニキビに効く薬を塗ってみても全く効果が表れないという場合は、ニキビではなくしこりの可能性があります。
しこりといっても、ニキビ程度のサイズの場合もあります。
病院を受診する場合は、皮膚科になります。
しこりは放置しても治る?
しこりの多くは、良性の腫瘍といわれていますから、日常生活に支障がないのであれば、積極的な治療は行わず経過観察するということもよくあります。
自然治癒できるものもありますが、中には、セルフケアでは完治できないものもあります。
また、病気が進行すると症状が悪化するというケースもありますので、しこりが出来た場合は、できるだけ放置せず、専門医の診断を受けるようにしてください。
背中のしこりが痛くない時
背中のしこりが痛くない場合、次のようなことが原因である可能性があります。
表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)
表皮嚢腫は、非常に一般的な良性の皮膚腫瘍です。
いぼやほくろを除けば、皮膚に現れる良性の腫瘍の8割が、表皮嚢腫といわれています。
■表皮嚢腫が出来る原因
表皮嚢腫を発症する原因には、毛穴がふさがることと深く関係しています。
これによって毛穴の組織の一部が皮膚内部に蓄積し、表皮の下で袋状の皮膚が形成されることによっておこります。
ほかにも、外相が原因で表皮嚢腫が出来ることがあります。
若者の場合、耳たぶのピアスの跡にできる表皮嚢腫が多くみられます。
表皮嚢腫が多発する場合は、体質が原因であることも考えられます。
ただし、発症年齢は非常に幅広く、高齢になってから発症するケースもあります。
■表皮嚢腫のしこりの特徴
表皮嚢腫のしこりは、触っても痛みがありません。
最初は2~3cm程度ですが、しこりの内部に細菌が侵入し感染すると、炎症を起こし数倍の大きさになることがあります。
表皮嚢腫の場合、しこりをつまむことが出来ます。
引っ張ると、しこりの周辺の皮膚も同時に引っ張られた感覚があれば、表皮嚢腫の可能性が高いといえます。
■表皮嚢腫の対処法
放置していても問題がない表皮嚢腫ですが、気になるほどのしこりでなければ、経過観察するということでも問題はありません。
ですが、表皮嚢腫の場合、稀に皮膚がんの合併が起こることがあります。
皮膚がんは、悪性の腫瘍ですから、早期治療が必要になります。
皮膚がんの場合、発熱を伴うしこり部分周辺の腫れや、しこりが急速に大きくなるなどの状態が見られます。
他にも、出血が見られるというのも皮膚がんとの合併が疑われる症状といえます。
この場合は、手術によって病理検査を行い判断する必要があります。
このような深刻な状態になるのを防ぐためにも、表皮嚢腫のしこりと思われたとしても、一度は専門医の診断を受けることが安心です。
受診する場合は、皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科を受診するとよいでしょう。
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背中のしこりが痛いと感じる原因
次に背中のしこりが痛いと感じる原因から見ていきます。
軟部肉腫
軟部肉腫は、皮下組織や筋肉といった「軟部組織」に発生する悪性腫瘍のことです。
背中だけでなく、全身のあらゆる部位に発生します。
■症状
悪性腫瘍ですが、ほとんどの場合、しこり部分に痛みを伴わないというのが特徴にあります。
ですが、しこりが大きくなると、しこりの周辺にある神経を圧迫し、痛みのようなしびれや麻痺などの症状が現れることがあります。
■軟部肉腫の対処法は?
軟部肉腫は、悪性の腫瘍ですから、必要な治療を積極的に受けることが必要になります。
発症の原因が明確にされていない病気でもありますが、早期治療によって、入院をしなくても治療を続けることが可能なケースもあります。
脂肪肉腫
脂肪肉腫は、「高分化型脂肪肉腫」「粘液型脂肪肉腫」「多形型脂肪肉腫」「脱分化脂肪肉腫」の4つに分けられます。
■高分化型脂肪肉腫
脂肪肉腫の中でも、最も悪性度が低く、この病気が原因で死亡する確率は2%以下と非常に低いことが特徴です。
■粘液型脂肪肉腫
粘液型脂肪肉腫は、肉腫全体の1/3を占めていますが、早期発見・早期治療によって回復が見込める病気です。
■多形型脂肪肉腫
脂肪肉腫の中でも非常に珍しい種類に分類されます。そのため、肉腫全体の5%程度しか発症しないといわれています。
■脱分化脂肪肉腫
4つに分類される脂肪肉腫のうち、最も悪性度が高いのが、脱分化脂肪肉腫です。
高分化脂肪肉腫が変化することによって発生するといわれますが、発生率そのものは非常に低く、10%程度といいます。
■脂肪肉腫の対処法は?
悪性腫瘍といえども、痛みを伴う自覚症状がほとんどないため、発見しにくいという特徴があります。
しかし、悪性腫瘍ですから病気が進行すれば、血液やリンパ液を使って細胞が移動し、転移する可能性があります。
しかも、肉腫の場合、肺に転移することが最も多いという特徴があります。
肺に転移すれば、背中に痛みが起こることが考えられます。
しこりや脂肪肉腫そのものの痛みではありませんが、転移によって現れる別の病気の痛みとなりますので、治療は非常に困難になっていきます。
ですから、
・しこりの大きさが気になる
・しこりが急に大きくなった
などの場合は、早めに専門医を受診するようにしてください。
なお、脂肪肉腫の疑いがある場合は、まずは大学病院を受診してください。
ここでの検査や診断によって、骨軟部腫瘍を専門とした治療を受けることが出来るようになります。
まとめ
背中のしこりときくと、なんだか怖い病気の可能性があるように思えるのですが、しこりの大半は良性の腫瘍です。
そのため、日常生活を送るうえで支障が出ない限り、経過観察をしていても問題がないことが多いものです。
ですが、良性の腫瘍といっても、悪性と良性を見分けることは非常に難しいものです。
専門医であっても、詳しい検査によって判断する必要があります。
ですから、今の時点で痛みを感じなかったとしても、できるだけ放置せずに専門医の診断を受けるようにしてください。
たとえ良性のしこりであったとしても、小さなものであれば、短期間で症状を改善することもできるようになります。