緊張型頭痛の原因は何?対処法などについても解説!【医師執筆】
この記事を執筆した医師のプロフィールは以下より。
後頭部や首の後ろの方が、重くて締め付けられるような痛みを起こすのが「緊張型頭痛」です。
日本人の頭痛患者さんは全体で約4,000万人と推定されていますが、そのうち緊張型頭痛の患者さんは約800万人もいると言われています。
それではこの「緊張型頭痛」について、詳しく解説していきます。
では、早速見ていきましょう。
緊張型頭痛の原因6つを知ろう
緊張型頭痛はなぜ起こるのでしょうか?
そもそも何が緊張するのでしょうか?
実は緊張型頭痛は「筋肉」が緊張することで起こってしまう頭痛なのです。
後頭部や首、肩の筋肉がさまざまな原因により、すごく緊張して硬くなってしまうことがあります。
これがいわゆる「肩こり」や「首のこり」ですが、これらの筋肉の緊張によって首や肩周辺の血行が悪くなってしまいます。
すると本来なら血行によって排除されるはずの疲労物質(乳酸など)が筋肉の中に蓄積してしまいます。
この疲労物質が周辺の神経を刺激することで、緊張型頭痛を発症してしまうのです。
それでは緊張型頭痛を起こしやすくなる6つの原因について詳しく解説していきます。
同じ姿勢での長時間にわたる作業
立ち仕事やデスクワークなど、長時間にわたって同じ姿勢で仕事をし続けると、首や肩などの筋肉が緊張して、肩こりや首のこりを起こします。
また精神的にも緊張を強いられる状態が続くので、相乗効果で症状の悪化をきたすことになります。
肩こりや首のこりは緊張型頭痛の一番の原因になるので注意する必要があります。
パソコンやスマートフォンによる目の疲れ
パソコンやスマートフォンなどのモニター画面を長時間見続けると、ひどい目の疲れをきたします。
この目の疲れが肩こり・首のこりの原因となり、緊張型頭痛を起こしてしまいます。
運動不足
同じ姿勢で作業を長時間続けているような人は運動不足になります。
運動不足は筋肉の緊張を悪化させて肩こりや首のこり、腰痛などの原因になります。
また全身の血行も悪くなるため、筋肉に疲労物質が溜まりやすくなり、その結果として緊張型頭痛を引き起こしてしまいます。
手先の細かい作業
手先の細かい作業を長時間続けていると、肩こりや首のこりにつながります。
それと同時にひどく目が疲れて「眼精疲労」を引き起こします。
また細かい作業をしていると体も動かすことが少なくなるため、運動不足にもなってしまいます。
このため手先の細かい作業を続けていると、緊張型頭痛を起こしてしまうことになります。
寒さや冷えを我慢する
寒さや冷えをブルブルと震えながら我慢することも、首や肩の筋肉の緊張を起こしてしまいます。
また体が緊張して硬くなってしまうので、たとえブルブルと体が震えていても筋肉の血行自体は悪くなります。
したがって、寒さや冷えを我慢することは肩こりや首のこりを悪化させて、緊張型頭痛の原因になってしまいます。
枕の高さが合っていない
夜眠っている時の枕の高さが高すぎたりして、首が過剰に屈曲した状態で寝続けると、首の後ろや後頭部の筋肉が緊張した状態になります。
この状態が長時間続くことは、肩こりや首のこりの原因となってしまいます。
睡眠は十分取れているはずなのに、肩こりがひどくて頭痛がするような方は、一度ご自身の枕の高さが高すぎないか見直してみる必要があります。
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緊張型頭痛の症状4つを知ろう
肩こりや首のこりなどが原因となって起こる緊張型頭痛ですが、頭痛の起こり方に特徴があります。
また頭痛だけでなく、その他にも合併する症状があります。この緊張型頭痛の特徴的な症状を4つ紹介します。
夕方に起こりやすい頭痛
緊張型頭痛は夕方に起こることが多いタイプの頭痛です。
仕事や細かい作業を朝からずっと続けることで
・肩こりや首のこり
・全身の疲労や目の疲れ
などが生じます。
このため、朝起きた時は元気で頭痛がなかった人が、午後になると頭痛が始まり夕方にはピークに達します。
毎日決まって夕方頃になると、首の後ろや肩が張ってきて、後頭部が重くてキリキリと痛くなってくる人は、緊張型頭痛の可能性が非常に高いです。
吐き気がする
緊張型頭痛では、頭痛とともに「吐き気」がすることがあります。
後頭部や首のあたりが重だるくてしんどくなってくると、徐々に気分が悪くなってきて吐き気がするのです。
しかし頭痛と吐き気があまりにもひどい時は、緊張型頭痛ではなく「脳の重篤な病気」の可能性もあるので、病院を受診することも考えた方がよいでしょう。
めまいがする
吐き気と同様で、緊張型頭痛では頭痛症状とともに「めまい」を感じる人もいます。
肩こりや首のこりから起こることが多いのですが、あまりにも強いめまい感で、立ち上がることも難しいといったように症状がひどい場合は、病院を受診した方がよいでしょう。
微熱がでる
緊張型頭痛は、肉体的・精神的な疲れやストレスが原因で起こります。
その際に受けたストレスから自律神経障害も同時に引き起こすことがあります。
自律神経のバランスが障害されると汗をかきやすくなって動悸がしたり、微熱が出たりすることがあります。
緊張型頭痛が原因になるのではなく、緊張型頭痛の原因となる疲労やストレスの影響で、微熱などの自律神経障害を引き起こすのです。
緊張型頭痛の対処法4つを知ろう
緊張型頭痛は、直接的な原因となる肩こりや首のこりを解消することが一番の対処法になります。
緊張型頭痛が起きたときの4つの対処法について解説していきます。
マッサージ・ストレッチをする
前傾姿勢で長時間にわたるデスクワークなどを行うと、首や肩に負担がかかり緊張型頭痛を起こします。
首や肩周辺のマッサージやストレッチを行うことで、頭痛の原因となる筋肉の緊張をほぐすことができ、症状の改善が期待できます。
血行改善
首や肩周辺の筋肉を温めることで血行改善を行い、筋肉に蓄積された老廃物の排除の手助けをします。
電子レンジで温めたホットタオルを首や肩にかけて温めるのも効果があります。
またゆっくりと時間をかけて入浴し、全身の血行改善を図るのもよいでしょう。
リラックスする
身体的・精神的ストレスによっても首や肩周辺の筋肉の緊張が高まり、緊張型頭痛を起こしてしまいます。
したがってストレスをためないようにリラックスすることが、頭痛改善に効果が期待できます。
自分の好きな音楽を聴いたり、映画を観るなど疲れた心と体を癒してあげましょう。
薬による治療
どうしても頭痛がよくならないときは、薬による治療を行うしかありません。
ドラッグストアで買うことのできる痛み止めの薬を飲んだり、首や肩に湿布を貼ったりしてみましょう。
また市販薬で効果がなければ、病院を受診してみてください。
緊張型頭痛に有効な薬もあるので、医師に相談した上で適切な検査や治療薬を処方してもらうようにしましょう。
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緊張型頭痛の予防法5つを知ろう
できることであれば緊張型頭痛を起こさないに越したことはありません。
そこで緊張型頭痛はどのようにすれば予防できるのか、日常生活の中でカンタンに行うことができる予防法を5つ紹介します。
意識的に姿勢を変える
デスクワークなど同じ姿勢で長時間作業を続けることが緊張型頭痛の原因になります。
したがって普段から正しい姿勢で仕事をすることは基本的に大切なことですが、20~30分毎に作業の姿勢を意識して変えるようにすることが、緊張型頭痛の予防につながります。
また肩の上げ下げ運動や、首を左右にゆっくりと倒す運動をしてみましょう。
椅子に座っていてもできるような簡単な運動を行うことを習慣にしてみるとよいでしょう。
休憩をする
長時間の仕事や作業をする場合は、意識的に適度な休憩をとることをオススメします。
パソコンやスマートフォンなどのモニターから視線を外して、まばたきをするなど目の疲れが蓄積しないよう心がけてみてください。
また休憩の時はあえて自分のデスクから離れて、軽い運動やストレッチなどを行うことが緊張型頭痛の予防に効果的です。
ぜひ実践してみてください。
深呼吸をする
ストレスのかかる仕事をしていると、活動性や緊張を高める「交感神経」と呼ばれる自律神経が優位になります。
交感神経の影響によって心身の緊張が高まり、緊張型頭痛の発症につながります。
この交感神経を落ち着けるためにできることが「深呼吸」です。
特に息を吐くときに、なるべくゆっくりと息を吐き出すことを心がけてみてください。
仕事の合間に深呼吸をすることを習慣にして、自律神経のバランスを整えることをお勧めします。
枕の高さの調整
夜寝る時の枕の高さは大丈夫でしょうか?
枕の高さが高すぎると首が過度に屈曲し、寝ている間に首や肩の筋肉の緊張につながってしまいます。
このため睡眠は十分なはずなのに、朝起きた時には首や肩がこっていたりして、緊張型頭痛の原因になってしまうことがあります。
自分にあった高さの枕を使うことが、緊張型頭痛の予防につながります。
体の代謝機能をあげる
運動や筋力トレーニングで筋力アップを図ると、体の代謝機能が上がり全身の血行改善につながります。
血行が良くなれば、筋肉の中の老廃物(乳酸など)を効率よく排出させることができます。
首や肩のこりが解消されて緊張型頭痛を予防できるだけでなく、ストレスの発散や健康増進にもつながります。
まとめ
緊張型頭痛は
・肩や首のこり
・目の疲れやストレス
などが原因で起こる頭痛です。
長時間にわたる仕事や作業を行う場合は、簡単な体操やストレッチをしたり、意識的に休憩をとることで、緊張型頭痛の発症を予防することができます。
さらには深呼吸によって自律神経を整えることも重要になります。
首や肩の筋肉をほぐして温めたり、リラックスすることによって緊張型頭痛の症状を軽減することができますが、症状がひどい時は他の脳の病気の可能性もでてきます。
病院を受診した上で、適切な検査を受けたり、薬などによる治療も必要になる場合もあります。
みなさんご注意くださいね。
この記事を執筆した医師のプロフィールは以下より。