前頭部でズキズキ頭痛がする!その原因と対処法は?【医師執筆】
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ひとことで「頭痛」と言っても、実際にはさまざまな種類の頭痛があります。
また、頭痛が起こる部位によってもその原因が異なってきます。
頭痛の種類や原因によって対処法や予防法も違ってくるので、実は頭痛が起こる場所というのは非常に重要な要素になります。
ここでは前頭部、すなわち頭の前の方がズキズキとしてくるような頭痛に注目して、その原因や対処法について詳しく解説していきます。
では、早速見ていきましょう。
今回の流れ
前頭部でズキズキ頭痛がする4つの原因
前頭部がズキズキと痛くなるような頭痛には主に4つの原因があります。
まずはこの4つの原因について解説します。
ストレス
現代はストレス社会とも言われています。
適度なストレスは集中力を高めたりするのに必要なのですが、日常生活の中で徐々にストレスが蓄積してきてしまうと、前頭部を中心にズキズキとした頭痛が起こります。
これはストレスがたまると「コルチゾール」というストレスホルモンの量が増えてくるためです。
このコルチゾールの作用によって、血圧が上がったり、脳の血管が収縮や拡張を起こすため、前頭部の頭痛が起こると言われています。
またストレスによって自律神経のバランスも崩れます。
自律神経のうち、交感神経とよばれる緊張を高める神経が活性化することで筋肉や血管の緊張状態を引き起こし、これが原因となって前頭部の頭痛が起こることがあります。
目の疲れ(眼精疲労)
長時間にわたってパソコン作業をしたり、スマートフォンを使用するなどで目を酷使すると、眼精疲労とよばれるひどい目の疲れを起こしてしまいます。
目が乾いたり、かすんでピントが合いにくくなるだけでなく、ひどくなると前頭部にズキズキとした頭痛を起こすことがあります。
目の疲れからくる前頭部の頭痛は現代病の一つになります。
群発頭痛
片方の目の奥や前頭部に、ズキズキと激しい痛みが起こるのが群発頭痛です。
のたうち回るような激しい痛みが数十分から数時間続きます。
市販の痛み止めでは治らないので、ひどい場合は病院を受診した方がよいでしょう。
※「群発頭痛」に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
ちくのう症
鼻の病気である「ちくのう症」でも前頭部のズキズキとした痛みが起こります。
顔や前頭部の骨には「副鼻腔」とよばれる空洞があります。
そこに炎症が起こって膿がたまることで、ちくのう症を起こします。
うつむいた時に前頭部のズキズキする痛みがひどくなったり、鼻水の色がおかしくなって量が増えたりする場合は、ちくのう症の可能性が高くなります。
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前頭部のズキズキ頭痛!4つの対処法
前頭部のズキズキとした頭痛が起こってしまうと、どうすれば和らぐのでしょうか?
早く頭痛が良くなってほしいですよね。
ここでは前頭部のズキズキとした頭痛の対処法を4つ紹介します。
休憩する・目を休める
すぐにできる対処法として、休憩したり目を休めることをおすすめします。
前頭部の頭痛は、
・ストレス
・目の疲れ
が原因で起こることが最も多いです。
したがってその原因を取り除く必要があります。
長時間のデスクワークやパソコン作業をしている場合は、30分毎に休憩してストレッチや簡単な体操をすることをおすすめします。
できればデスクから離れて行う方がよいでしょう。
また疲れた目を休めるために、モニター画面から視線を外して遠くを眺めたりしましょう。
ドライアイを予防するために、意識的にまばたきをすることも心がけてみてください。
冷やす
ズキズキして痛くなっている前頭部や疲れがたまった目を、濡れたタオルなどで10分間ほど少し冷やしてあげると頭痛の改善につながります。
氷などで冷やしすぎてしまうと、逆に頭痛症状がひどくなる場合もあるので注意が必要です。
痛み止めのクスリを飲む
どうしても頭痛がよくならない場合は、市販されている痛み止めの薬を飲んでみましょう。
我慢し続けるよりも、早めに薬を飲む方が効果的です。
しかし毎日のように痛み止めの薬を飲み続けていると「薬物乱用性頭痛」と呼ばれる、薬が原因の頭痛を起こしてしまいます。
市販薬が効果がない場合は、病院を受診することも考えた方がよいでしょう。
放っておけない!前頭部のキケンな頭痛5つ
前頭部のズキズキする頭痛の中には、実は重篤な頭の病気が原因となっていることがあります。
頭痛以外に次のような症状が起こります。
・吐き気がする
・手足がしびれる
・言葉がしゃべりにくくなる
・けいれんする
・意識がボーとする
これらの症状が合併するような場合は、すぐに病院を受診する必要があります。
それでは「ほっとけない!前頭部のキケンな頭痛」を5つ紹介します。
くも膜下出血
突然、前頭部を「バットで殴られたような」激しい頭痛におそわれた場合は「くも膜下出血」の可能性が高いです。
くも膜下出血は、脳の血管にできたコブ(脳動脈瘤)が突然破裂して、頭の中に出血する病気です。
破裂した衝撃が少ない場合は、救急車でなく歩いて病院を受診する人もいます。
しかしもう一度コブが破れると、生命に関わる状態に陥ってしまいます。
緊急で手術やカテーテル治療が必要になりますが、治療がうまくいっても社会復帰できる可能性は30%~50%程度とも言われています。
脳内出血
高血圧などが原因となって、脳の中で激しい出血を起こすのが「脳内出血」です。
脳の中での出血する部位や大きさによって、出現する症状が異なります。
大きな脳内出血の場合は、
・突然意識がなくなって倒れる
・全身のけいれん
といった症状を起こします。
この場合は緊急手術になることもありますが、手足の麻痺などの重い後遺症が残る可能性が高いです。
一方、小さな脳内出血であれば頭痛だけの症状の人もいます。
点滴治療だけで、何もなく元の生活に戻ることができますが、中には出血が大きくなってしまって状態が悪くなってしまう場合もあります。
小さな脳内出血でも決して安心はできません。
脳腫瘍
脳の前の方に「脳腫瘍」ができてしまうと、前頭部の頭痛が起こります。
この脳腫瘍には「良性」と「悪性」があります。
良性腫瘍であれば何年もかけて非常にゆっくりと大きくなるので、頭痛に悩まさせることは少ないです。
しかし、悪性腫瘍の場合は急激に腫瘍が大きくなるので、周辺の脳を圧迫して頭痛や吐き気を引き起こします。
脳腫瘍による頭痛は「朝起きた時の頭痛」が特徴として挙げられます。
脳腫瘍が頭の中にできると、呼吸が浅くなる睡眠中に脳が腫れてきます。
そして朝起きた時に最も痛くなり、ひどい時は「吐き気」も出現します。
髄膜炎(ずいまくえん)などの感染症
前頭部のズキズキとした頭痛だけでなく、
・高い熱が出る
・意識がもうろうとする
このような場合は「髄膜炎」や「脳炎」などの脳の感染症が疑われます。
普通の風邪だと思ったら、髄膜炎だったということは時々あります。
頭を振ってみるとすごく頭痛がひどくなったり、首の後ろが硬くなったりするような場合は髄膜炎の可能性が出てきます。
必ず病院を受診する必要があります。
緑内障
もし前頭部の頭痛とともに、次のような目の症状があれば「緑内障」の可能性があります。
・視野の一部が欠ける
・吐き気がする
・目が充血する
緑内障は進行が早く、一度視力を失ってしまうと元に戻すことができません。
これらの症状に気がつかずに、前頭部の頭痛を我慢していると目が見えなくなってしまうかもしれません。
おかしいなと思ったらすぐに病院を受診しましょう。
【医師からのアドバイス】前頭部の頭痛まとめます!
前頭部のズキズキする頭痛は、ストレスや眼精疲労が原因で起こるような頭痛ばかりではありません。
くも膜下出血や脳腫瘍、脳の感染症など、頭のキケンな病気が原因となることもあります。
また頭の病気だけではなく、
・鼻の病気(ちくのう症)
・目の病気(緑内障)
など、さまざまな病気が前頭部頭痛の原因になります。
頭痛以外の他の症状にも気をつける必要があります。
前頭部の頭痛がどんどんひどくなったり、頭痛以外の症状が出てくるようなら、我慢せずに早めに病院を受診するようにしましょう。
この記事を執筆した医師のプロフィールは以下より。