頭頂部で頭痛がズキンとする!その原因と治し方!【医師執筆】
この記事を執筆した医師のプロフィールは以下より。
頭頂部にズキン!とひびくような頭痛を経験したことはないでしょうか?
アイスクリームなど冷たい物を食べたりすると、頭頂部にむけてズキンとする頭痛が起こります。
しかし何もしていないのに頭頂部にズキズキとした頭痛が始まってしまうと、何か悪い脳の病気でもあるのかな?と不安になる方も多いでしょう。
ここでは頭頂部にズキン!とひびくような頭痛について、その原因や治し方など詳しく解説していきます。
また頭頂部の頭痛の中には、生命に関わるような危険な病気が原因となることもあるので、それについても解説します。
では、早速見ていきましょう。
今回の流れ
頭頂部のズキン!とする頭痛の原因3つ
何もしていないのに頭頂部がズキズキと痛くなってきて頭痛が続くのは、一体なにが原因なのでしょうか?
まずは原因として頻度の高いものを3つあげてみましょう。
緊張型頭痛
頭頂部のズキン!とひびくような頭痛の原因で最も多いものが
・疲れ
・肩こり
によって引き起こされる「緊張型頭痛」になります。
緊張型頭痛の患者さんは全国で約800万人もいるといわれています。
頭痛の症状としては、後頭部から頭頂部にかけて、重くなってくるような頭痛やズキズキとした頭痛が特徴となります。
緊張型頭痛を起こす原因は次のようなものになります。
・立ち仕事やデスクワークなど、同じ姿勢での長時間にわたる作業
・目の疲れ(眼精疲労)
・手先の細かい作業や寒さや冷え
・寝るときの枕の高さがあっていない(枕が高すぎる)
これらの原因によって、首や肩まわりの筋肉が緊張して硬くなってきます。こ
の筋肉の過度の緊張が肩こりや首のこりにつながり、後頭部から頭頂部が重くズキンと痛くなる緊張型頭痛を起こすことになるのです。
また筋肉が緊張して硬くなると、筋肉の血行が悪くなります。
そのため疲労物質である乳酸などが筋肉内に蓄積し、緊張型頭痛の症状を悪化させることになるのです。
※「緊張型頭痛」に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
→緊張型頭痛の原因は何?対処法などについても解説!【医師執筆】
高血圧
頭頂部がズキズキと痛みはじめると同時に、吐き気がしたりめまいがするような場合は「高血圧」が原因となっている可能性があります。
仕事のストレスや寝不足などにより自律神経のバランスが崩れると、血圧が高くなります。
普段の血圧より高くなると、頭に流れる血液の量も増えて脳が腫れてきます。
このことにより頭頂部にズキンとした頭痛を起こしたり、吐き気などの気分不良の症状が出るのです。
血圧が220/110mmHgを超えるような高値になると、全身のけいれん発作を起こしたり、意識が遠くなったりすることもあるので要注意です。
後頭神経痛
後頭部から頭頂部にかけて、ビリビリと電気が走るような頭痛が起こるときは「後頭神経痛」の可能性があります。
後頭部の頭皮の中には「後頭神経」とよばれる感覚神経が走行しています。
この後頭神経は頭の皮膚の感覚を伝える神経ですが、神経に負担がかかって炎症などを起こしたりすると、この「後頭神経痛」を起こします。
髪の毛に触れただけでもビリっ!と痛みが走ることがあります。
このような症状の場合は後頭神経痛を考えましょう。
頭頂部のズキン!とする頭痛の治し方4つ
頭頂部のズキン!とする頭痛がつづくと本当につらいですよね?
ひどい場合には頭が割れるような頭痛を起こすこともあり、仕事や勉強が手につかなくなることもあります。
ここでは頭頂部の頭痛が続く場合の対処法や治し方、そして頭痛を予防するための方法について詳しく解説していきます。
首や肩のマッサージ、ストレッチをする
頭頂部の頭痛の原因として最も多い「緊張型頭痛」は、肩こりや首のこりが原因となる場合が多いです。
したがって、首や肩まわりの筋肉のマッサージやストレッチをすることが、頭頂部の頭痛の改善につながります。
・首や肩を大きく回す運動
・マッサージ機
などで筋肉をほぐしてみてください。
また頭痛症状がなくても、長時間のデスクワークなどをする際には、緊張型頭痛を予防するためにこのようなマッサージやストレッチを行うことをお勧めします。
首や肩を温める
首や肩まわりを温めることで筋肉の血行がよくなると、筋肉内に蓄積した疲労物質の排出が良くなり、頭頂部の頭痛の改善にもつながります。
肩のあたりまで湯船につかり、ゆっくりと時間をかけて入浴したり、電子レンジで温めたホットタオルを使って、肩や首の筋肉を温めてみてください。
また以下に紹介する温熱パッドは首や肩にきちんとフィットし、より効果的に首肩を温めることができるので、非常にオススメです。
深呼吸をする
深呼吸には自律神経を整えてリラックスできる効果があります。
頭頂部の頭痛の中で高血圧が原因となっている場合は、ゆっくりと深呼吸をしてみることをおすすめします。
特に息をゆっくりと吐き出すように心がけてみてください。
これにより自律神経の中でも交感神経の興奮がおさまるため、高くなっている血圧の低下につながります。
またリラックス効果によって、首や肩の筋肉の緊張の改善にもつながるため、緊張型頭痛に対しても効果があります。
薬を飲む・湿布を貼る
どうしても頭頂部のズキン!とした頭痛がよくならない時は、市販されている痛み止めの薬を飲んでみましょう。
また緊張型頭痛であれば、肩こりが原因となることが多いので、肩に湿布薬を貼ったりすることも効果的です。
市販されている湿布薬の中でも、ただ冷やすだけでなく炎症を抑える効果のある、以下の湿布がおすすめです。
また市販薬で症状が改善しない場合は病院を受診してみてください。
緊張型頭痛であれば専用の薬が処方してもらえます。
また後頭神経痛による頭頂部のビリビリする痛みに対しては、局所麻酔薬の注射による「神経ブロック」が効果的です。
我慢せずに病院で治療をしてもらいましょう。
頭痛を和らげるツボをおす
首の後ろには、緊張型頭痛を和らげる効果があるといわれている「ツボ」があります。
ツボをおすことで肩こりや首のこりが解消し、緊張型頭痛の改善につながります。
・天柱(てんちゅう):首の後ろの筋肉の外側で、髪の毛の生え際にあるツボ
・風池(ふうち):天柱のさらに指一本外側のくぼみにあるツボ
・あ門(あもん):左右の天柱ツボの真ん中にあるくぼみにあるツボ
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放っておけない!頭頂部に起こる危険な頭痛<3つの原因>
頭頂部のズキンとする頭痛の中には、生命に関わるような危険な脳の病気が隠れている場合があります。
頭頂部の頭痛に加えて、次に挙げる症状があれば要注意です!
・吐き気、嘔吐
・手足のしびれ、動かしにくくなる(特に足に症状が強い)
・ろれつが回りにくい
・けいれんする
これらの症状が合併している場合はすぐに病院を受診する必要があります。
それでは「放っておけない!頭頂部に起こる危険な頭痛」の主な3つの原因について解説していきます。
脳腫瘍
頭頂部に「脳腫瘍」ができると、頭頂部を中心とした頭痛を起こすことがあります。
脳腫瘍は良性・悪性に限らず徐々に大きくなってくるので、頭痛症状はだんだんひどくなってきます。
特に脳腫瘍は「朝起きた時の頭痛」が特徴的な症状です。
頭痛がひどくなるとともに、
・吐き気
・手足のしびれ
が出てくる場合は脳腫瘍の可能性が高くなります。
非常に稀な病気ですが、おかしいな?と感じたら早めに病院を受診しましょう。
くも膜下出血
脳の血管のコブ(脳動脈瘤)が破れて頭の中に出血する病気が「くも膜下出血」です。
頻度としては低いのですが、頭頂部の血管にもコブができることがあります。
くも膜下出血の頭痛の特徴は「突然の頭痛」になります。
普通に生活している人が、今まで経験したことのないような、突然のひどい頭痛を起こした場合はくも膜下出血の可能性が高いです。
その場合は安静にして、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
脳内出血
頭頂部の脳の中に出血を起こす病気が「脳内出血」です。
出血の量が多いと意識がなくなってしまいます。この脳出血を起こす原因は次のものがあります。
・高血圧
・脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)
・アミロイドアンギオパチー
少し難しい名前の病気もありますが、いずれの病気も突然の脳内出血を起こします。
頭頂部の頭痛や吐き気が起こったり、手足のしびれやけいれんなどの症状があれば、これもすぐに救急車を呼んで病院へ行く必要があります。
【医師からのアドバイス】頭頂部のズキン!とする頭痛まとめます
頭頂部のズキンとする頭痛の原因として最も多いものは「緊張性頭痛」になります。
この場合、後頭部から頭頂部にかけてズキンと重い頭痛が起こります。
緊張型頭痛は肩こりや首のこりが原因となることが多いので、ストレッチやマッサージなどを行うことで予防することが大切です。
また頭頂部の頭痛が突然起こったり、日に日に悪くなってくるような場合は、脳の危険な病気が原因となっている場合があります。
我慢せずに早めに病院を受診して、適切な検査と治療をしてもらいましょう。
この記事を執筆した医師のプロフィールは以下より。