頭痛の種類が分からない?3つの見分け方を解説!【医師執筆】
この記事を執筆した医師のプロフィールは以下より。
みなさんの中で「頭痛」に悩まされている方は多いと思われます。
実は日本の頭痛患者さんは約4,000万人とも推定されていて、健康をおびやかす重要な病気の一つとされています。
その頭痛ですが、実はさまざまな種類の頭痛があります。
そして頭痛の種類によって、治療法や予防法などがかなり違ってくるのです。
みなさんご存知でしたでしょうか?
一日でも早く頭痛から解放される日を迎えるために、まずは頭痛のことをよく理解することが大切です。
そしてご自身の頭痛がどのタイプの頭痛かを知ることで、治療や予防が可能となります。
では、早速見ていきましょう。
今回の流れ
まずは頭痛の種類について知ろう!
まず「頭痛」という病気は大きく次の2つに分類されています。
それは一次性頭痛と二次性頭痛の2つです。
一次性頭痛
「一次性頭痛」とは、いわゆる「頭痛持ち」と呼ばれる人の頭痛になります。
頭痛の原因となる他の病気がないタイプの頭痛になります。
頭痛全体の約80%を占めていて、次の3つに分けることができます。
・片頭痛
・緊張型頭痛
・群発頭痛
これら3つの頭痛については、二次性頭痛について簡単に解説した後に詳しく見ていきます。
では、二次性頭痛について見ていきましょう。
二次性頭痛
「二次性頭痛」とは、脳や身体にある他の病気によって「二次的」に起こす頭痛のことで、代表的な二次性頭痛を起こす脳の病気には以下のものがあります。
・頭部外傷や脳血管障害(くも膜下出血、脳出血など)
・脳腫瘍や髄膜炎
また二次性頭痛を起こす脳以外の病気には、次のようなものがあります。
・全身の病気・・・風邪、インフルエンザ
・目の病気・・・緑内障、眼精疲労
・耳鼻科の病気・・・慢性副鼻腔炎(ちくのう症)
二次性頭痛の原因となる病気は、まだまだたくさんあります。
また頭痛の治療目的で、痛み止めの薬を飲みすぎてしまうと「薬物乱用性頭痛」とよばれるタイプの頭痛を引き起こすこともあります
さまざまな病気が原因で起こる二次性頭痛に関しては、それぞれの病気を詳しく掘り下げて説明しなければなりません。
あくまでも頭痛は「二次的」に起こってくる症状なのです。
まずは「頭痛持ち」の頭痛である、3つの一次性頭痛についてわかりやすく解説してみます。
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片頭痛とは?
「片頭痛」は一番耳にすることが多い頭痛だと思います。それほどありふれた頭痛になっていて、片頭痛をわずらっている日本人は約840万人にものぼると言われています。
すごい人数ですね…。計算してみると約15人に1人の割合になります。
片頭痛の特徴は次の3つになります。
・月に数回起こることがある
・数時間から3日ほど続くことがある
・頭のこめかみのところがズキンズキンと痛くなる
片頭痛とはいっても実は「両側」のこめかみのところがズキンズキンと痛くなることもあります。
ちなみに「両頭痛」とは言わずに「両側の片頭痛」とよんでいます。ややこしいですね。
また、片頭痛を起こす原因には主に次の3つが考えられています。
・ストレス
・人ごみや騒音などの周辺環境
・女性の生理によるホルモン変化
片頭痛を経験したことがある人、そして今現在も片頭痛を患っている人は、片頭痛のツラさをよくご存知だと思います。
ズキンズキンと頭が痛くて、本当に仕事や勉強どころではなくなってしまいます。
ドラッグストアなどで売っている痛み止めの薬で症状がよくなればいいですが、ひどい片頭痛にはあまり効果がないことがあります。
そんな時は病院を受診しましょう。
病院で処方されるお薬には「片頭痛専用」の薬があります。
非常に効果があるのでぜひ試してみてください。
また、片頭痛と思っていたら…実は「脳の悪い病気」だったということもあります。
あまりにも頭痛が治らなかったり、どんどんひどくなっていくような場合は、頭の詳しい検査も必要です。
片頭痛については以下の記事で詳しく解説をしています。
緊張型頭痛とは?
2つ目は「緊張型頭痛」です。
あまり聞きなれない頭痛と思われますが、実はこの緊張型頭痛の患者さんは約800万人もいると言われています。
それでは一体なにが緊張するのでしょうか?
仕事でプレゼンテーションする時や、宴会で出し物をする時とか、緊張しますよね?
その緊張とは関係ありません。緊張性頭痛で緊張するものはズバリ「筋肉」なのです。
緊張型頭痛の原因は「筋肉の緊張」なのですが、わかりやすくいうと「肩こり」や「首のこり」が直接的な原因になるのです。この緊張型頭痛の特徴的な症状は次の3つになります。
・首や肩のコリがひどい
・後ろ頭やこめかみのところがギューっと締めつけられるように痛い
・ほぼ毎日、夕方になると起こる
いかがでしょうか?ご自身の頭痛も緊張型頭痛だなと気づかれた方も多いかと思われます。
緊張型頭痛は肩こり以外にも、次のようなことが原因になることもあります。
・同じ姿勢での長時間にわたる作業
・目の疲れ
・手先の細かい作業
・枕の高さがあっていない
市販されている痛み止めのクスリでよくなる人もいますが、頭痛が長引いてなかなか治らない人の方が多いかもしれません。
そんな時はガマンをせずに病院を受診してみてください。
片頭痛の時と同じように「緊張型頭痛専用」の薬があります。
片頭痛の薬とは違って、筋肉の緊張をほぐす薬になります。
また緊張型頭痛は「予防」が最も大切になります。
ストレッチやマッサージなどを行うことで、普段の生活の中で肩こりや首のこりをほぐしてあげることが、緊張型頭痛を防いでくれるのです。
緊張型頭痛については以下の記事で詳しく解説をしています。
群発頭痛とは?
最後は「群発頭痛」について解説します。群発性頭痛は20~30才代の若い男性に多い頭痛で、頭痛の主な特徴は次の3つになります。
・目の奥をエグられるようなズキズキした痛み
・数週間から数ヶ月の間で「群発」する
・寝てる間に起こりやすい
頭痛発作が群発することが、この群発頭痛の名前の由来になります。
片頭痛に似たズキンズキンと血管が脈打つような痛みが目の奥に起こるので、とてもつらい頭痛になります。
群発頭痛の治療ですが、通常の痛み止めの薬はあまり効果がない場合が多いです。
あまりに激しい痛みで我慢できない時は、病院を受診した方がいいでしょう。
群発頭痛の治療ですが「酸素吸入」をすることで、頭痛症状が少し落ちついてくれます。
また「群発頭痛用の注射」もあるので、酸素吸入と併用することでより効果を発揮してくれます。
また、群発頭痛については以下の記事で詳しく解説をしています。
一次性頭痛でも「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」と3つの種類があって、それぞれの頭痛の特徴と原因、そして治療法が異なっていることがわかっていただけたでしょうか?
それでは次は、脳の病気が原因で起こる「二次性頭痛」の解説をしていきます。
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キケン!脳の病気で起こる二次性頭痛
他の病気が原因となって、二次的に頭が痛くなるのが「二次性頭痛」でしたね?
ここでは二次性頭痛を起こす「キケンな脳の病気」を4つ紹介します。
頭部外傷
二次性頭痛を起こす、1つ目の脳の病気は「頭部外傷」です。
頭を強くぶつけた時には、さまざまな種類の頭のケガをします。代表的なものを挙げてみます。
・脳震盪(のうしんとう)
・脳挫傷(のうざしょう)
・急性硬膜下血腫
・急性硬膜外血腫
・外傷性脳内出血
「脳震盪」以外のケガでは、場所が異なりますが頭の中になんらかの「出血」を起こします。
その出血のために脳が圧迫されて
・頭痛
・吐き気
を起こします。
頭が痛いだけでなく、出血が大きくなってくると徐々に意識が悪くなってきます。
頭を強打した後で「いねむり」をしたり、手足など全身が「けいれん」するような状態になると命の危険が出てきます。すぐに救急車(119番通報)を呼ぶ必要があります。
脳血管障害
「脳血管障害」にもさまざまな種類の病気があります。
脳の血管が切れたり、脳の血管にできたコブ(脳動脈瘤)が破れて出血する病気になります。
代表的な脳血管障害を挙げてみます。
・脳内出血
・くも膜下出血
・脳動脈解離(のうどうみゃくかいり)
まず「脳内出血」ですが、高血圧など生活習慣病が原因となって、脳の中の細い血管が切れてしまい、出血を起こす病気です。
頭痛や吐き気だけの症状で軽くすむ場合もありますが、大きな出血を起こした場合は、手足の麻痺症状が出たり、意識がなくなったりすることがあります。
また、「くも膜下出血」は脳の血管にできたコブ(脳動脈瘤)が破裂して出血する病気です。
くも膜下出血を起こすと「今まで経験したことのない」頭痛が「突然」起こります。
教科書的には「バットで頭をいきなり殴られたような頭痛」と書かれています。
本当に怖いですよね…。
3つ目は、頻度が少ないですが「脳動脈解離」です。
特に「椎骨動脈」と呼ばれる首の骨の側を通る血管に多いことが知られています。
一言でいうと「血管が裂ける」脳の病気です。
脳動脈解離の頭痛は「首の付け根や後ろ頭に、突然激痛が走る!」という特徴があります。
もちろん血管が避ける病気なので、出血を起こしたり、裂けた血管が詰まって脳梗塞を起こすことがあります。
脳腫瘍
「脳腫瘍」は頭の中にできるデキモノの病気です。
生まれたばかりの赤ちゃんから、高齢者の方まで、どの年代でもできる可能性のある病気です。
原発性(脳の中からできてくる)脳腫瘍は、年間1万人に1人くらいの割合で発生します。
脳腫瘍と聞くと「不治の病」というイメージがあるかもしれませんが、実は半数以上は「良性」の脳腫瘍なのです。
脳腫瘍の頭痛の特徴としては「朝起きた時の頭痛」です。
脳腫瘍が頭の中にできると、夜眠っている間に脳が腫れてきて、朝起きた時にガンガンと頭痛がします。
小髄膜炎(ずいまくえん)
最後は「髄膜炎」です。
頭の中に、
・細菌
・ウイルス
が感染することで、頭痛や発熱などを起こします。
頭痛だけでなく、後頚部が硬くなる「頚部硬直」といった特徴的な症状もあります。
【まとめ】ズバリ!わかりやすく頭痛のお話をします
どうでしたか?ご自身の頭痛がどのタイプの頭痛か、少し理解できたでしょうか?
「一次性」とか「二次性」とか色々分類しましたが、頭痛のことを考えているだけでも頭痛がしてきそうですね…。
これも二次性頭痛に分類されるタイプの頭痛になってしまいますが…。
最後はもっとわかりやすく、思いきって頭痛を大きく2つに分類してみます。
・大丈夫な頭痛
・大丈夫じゃない頭痛
シンプルでいいですよね?
実は世の中の頭痛は9割以上は「大丈夫な頭痛」すなわち「死んじゃう心配のない頭痛」なのです。
それでは「大丈夫じゃない頭痛」ってどんな頭痛なのでしょうか?
要するに「ほっておくと死んでしまうかもしれない頭痛」ということになります。
細かい病気を一つ一つあげると、ややこしくなってまた頭痛が起こってしまうので「大丈夫じゃない頭痛」の特徴を最後に3つ挙げてみます。
・今まで経験したことのないような激痛
・「突然!」痛くなった
・日に日に頭痛がひどくなっていく(吐き気が出てくる!)
これだけです。
しかしこの3つの特徴がとても重要になります。
二次性頭痛のところでも解説したものになりますが、ズバリ!ほっておけない危険な頭痛は「二次性頭痛」になります。
以上3つの特徴のある頭痛を起こした人は「脳神経外科」や「神経内科」のある病院を必ず受診してください。
症状がひどい時は、手遅れにならないためにも救急車(119番)を呼んでくださいね。
この記事を執筆した医師のプロフィールは以下より。